ニュースの概要
台湾の台中市は、路上駐車のデジタル管理区域を広げると発表した。10月15日から地下鉄グリーンライン周辺の6路線で325台分、10月29日から勤美商圏周辺の9路線で309台分を順に導入する。合わせて634台分が増え、市全体のスマート駐車区画は1274台分になる。低い位置に取り付けたカメラがナンバープレートを読み取り、駐車時間と料金を自動で計算する。紙の納付票は使わない。利用者は区画の近くにあるQRコードか、登録済みの決済手段で支払う。人手による巡回と紙の伝票に頼ってきた路上駐車の運営が、機械中心の仕組みに切り替わりつつある。
引用元: 台中市、スマート路上駐車を地下鉄沿線と商業地区へ拡大(Liberty Times Net)
分析・見解
紙の納付票をなくすと、料金の取りこぼしが減る
これまでの路上駐車は、係員が巡回して車の有無を確かめ、紙の納付票を貼る方式が中心だった。この方式には弱点がある。巡回の合間に出入りした車は記録に残らない。支払いを忘れた利用者への督促にも手間がかかる。
カメラ方式では、車が入った時刻と出た時刻がナンバーと結びつく。係員が回らなくても、停めた時間がそのまま記録される。つまり、料金の取りこぼしが構造的に減る。人件費が下がる効果よりも、この点のほうが収益への影響は大きいと考える。
地下鉄駅と商業地区を選んだのは、回転の速さが違うから
今回の対象は、地下鉄グリーンライン沿線と、勤美商圏のような買い物客が集まる地区である。どちらも短時間で車が入れ替わる場所だ。
住宅街の路上駐車は、一台が長く停まり続ける。この場合、台帳による管理でも大きな無駄は出にくい。一方、商業地区では一日に何度も車が入れ替わる。回転が速いほど、巡回方式の記録漏れが増える。デジタル化の効果が出やすい場所から順に広げているわけだ。
日本でも、コインパーキングの収益は回転数で大きく変わる。台中市の選び方は、民間の事業者が出店先を考えるときの基準にも通じる。
低位置カメラは、設置のしやすさと精度の両立を狙っている
今回の仕組みは、低い位置のカメラでナンバーを読む。高いポールを立てる方式より、設置の工事が軽くて済む。街路樹や看板の影響も受けにくい。
一方で、泥や雨でナンバーが汚れた車、斜めに停まった車は読み取りが難しい。読み取りに失敗した場合に、人が確認する手順をどう用意するかが運用の質を左右する。台中市は634台分を二段階で入れる。小さく始めて不具合を直しながら広げる、現実的な進め方だと言える。
決済の手間を減らすことが、利用者の納得感につながる
区画の近くのQRコードで支払える点も見逃せない。料金所まで歩く必要がなく、手持ちのスマートフォンで済む。登録済みの決済を使えば、出庫時に自動で精算される。
路上駐車は、支払いの面倒さが違反を生みやすかった。支払いを簡単にすれば、違反の取り締まりに頼る比重を下げられる。罰則で縛るより、払いやすさで行動を変える発想である。
ただし、スマートフォンを持たない高齢の利用者への配慮は欠かせない。現金や窓口で払える代替手段を残せるかが、制度として長続きするかどうかの分かれ目になる。
ビジネスへの影響
民間の駐車場事業者が今から見直せる三つの点
第一に、ナンバー認識の精度と、読み取れなかった場合の手順である。機械の性能だけでなく、失敗したときに人が素早く確認できる体制まで含めて設計したい。
第二に、支払い手段の幅である。QR決済、交通系カード、事前登録の自動精算を並べ、利用者が自分に合う方法を選べるようにする。支払い方法が少ないと、満車でも売上が伸びにくい。
第三に、立地ごとの回転率の把握である。駅前や商業地区で回転が速い区画から優先して機器を入れれば、投資の回収が早まる。
自治体の動きを、出店判断と交渉の材料に使う
自治体が路上駐車をデジタル化すると、周辺の民間駐車場の料金比較が利用者に見えやすくなる。路上の料金と時間貸しの料金が並べて検討されるからだ。
周辺の路上料金を調べ、自社の料金設定と見比べておくとよい。また、地権者や管理会社と契約の更新を話し合う際にも、他の都市で進むデータ管理の事例は説得材料になる。
導入は一度に広げず、まず一か所で試し、読み取りの失敗率と支払い完了率を確かめる。この二つの数字が良ければ、次の拠点に進める。
